岩手大学地域共同研究センター 平成15年度事業実績

1 産学官連携体制の整備

(1) 知的財産本部機能の整備

文部科学省の平成15年度新規事業である「大学知的財産本部整備事業」のモデル大学として、北海道・東北地区の地方大学として唯一本学が認められ、実施体制の整備及び制度設計を行いました。

ア 体制整備

技術移転マネージャー、インキュベートマネージャー及び産学官連携コーディネータ等を新たに雇用し、本学の知的財産の登録、活用を推進できる体制を整備しました。

イ 制度設計

知的財産ポリシー、職務発明規則及び研究成果有体物取扱規則等を制定しました。

また、利益相反ポリシー及び海外技術移転ポリシーについて、16年度の制定を目指して制度検討を行いました。

(2) インキュベーション施設の整備

 大学発ベンチャーの創出・育成するため、大学発ベンチャーや事業化を目指して共同研究を行う研究グループにスペースを提供するとともに、専門家の支援を行うための施設「インキュベーションラボ」が、平成16年2月に完成しました。

 インキュベーションラボは、鉄筋コンクリート3階建、延べ床面積1,000uとなっており、物理系、情報系、化学・農学系の研究スペース9室のほか、技術相談室、会議室、リフレッシュルーム、教官室で構成されております。

(3) 移動技術相談車の配備

 広い県土を考え、教官が現地に出向いて技術的な相談を受けたり、現地で分析ができるように、分析機器を搭載した移動技術相談車が配備されました。

(4) リエゾン関係の体制

ア 相談業務の充実

14年度と同様、当センター教官(3名)に加えて、次のスタッフが参加してリエゾン業務を支援していただきました。

(ア) 相談協力員(52名)による相談業務への対応(共同研究への発展を期待)

(イ) 産学官民連携協力員による共同研究調査・企画及び技術移転促進

・(財)いわて産業振興センター科学技術コーディネータ 大島修三氏、阿部四朗氏

・文部科学省科学技術コーディネータ 山崎悦宏氏、笹枝剛氏

(ウ) 共同研究員の受入による相談等への対応及び共同研究企画

・滝沢村商工観光課 大槻智康氏

・北上市商工課   芳野重樹氏

(5) 客員教授の体制

ア 平成15年度客員教授とテーマ

氏  名 所属・職 テーマ 学内共同研究者
滝川 洋二 国際基督教大学付属高等学校
教諭
地域を科学的価値送出の先進地にするための研究II 教育学部
八木 一正
大崎 博之 ソニー(株)レコーディングメディアカンパニー
主任技師
超高密度記録における表面技術に関する研究 工学部
森 誠之
武田 信司 日立化成工業株総合研究所 
主任研究員
エレクトロニクス用高分子材料の開発 工学部
大石 好行
牧野 平 元東北資材工業(株)
取締役
大学発ベンチャー支援(知の創造と活用サイクルの構築に向けて) 地域共同研究センター
小野寺 純治
谷藤 邦基 (財)岩手経済研究所地域研究部 
主任研究員
大学発ベンチャー支援(知の創造と活用サイクルの構築に向けて) 地域共同研究センター
小野寺 純治
秋山 信勝 (有)秋山会計事務所
代表取締役
大学発ベンチャー支援(知の創造と活用サイクルの構築に向けて) 地域共同研究センター
小野寺 純治
梶村  悠 富士大学経済学部
教授
大学発ベンチャー支援(知の創造と活用サイクルの構築に向けて) 地域共同研究センター
小野寺 純治
飯塚 卓也 森・浜田松本法律事務所
弁護士
特許化支援(知の創造と活用サイクルの構築に向けて) 地域共同研究センター
小野寺 純治
対馬 正秋 東北電力(株)考査室
副考査役
特許化支援(知の創造と活用サイクルの構築に向けて) 地域共同研究センター
小野寺 純治
富山 能省 科学技術振興事業団仙台事務所 
特許主任調査員
特許化支援(知の創造と活用サイクルの構築に向けて) 地域共同研究センター
小野寺 純治
丸岡 裕作 丸岡特許事務所
所長 弁理士
特許相談(知の創造と活用サイクルの構築に向けて) 地域共同研究センター
小野寺 純治

イ 客員教授フォーラム・シンポジウム及び成果報告会の開催

◇12月 5日 飯塚卓也 客員教授(知的財産フォーラムで講演)

◇ 3月18日 大崎博之 客員教授「技術開発の戦略とビジネスツールの活用」(38名参加)

2 産学官連携の取り組み

(1) 産学官連携

ア 岩手県産官学連携連絡会の開催

新たに岩手県農業研究センターを加えた18の産業支援・研究機関が一堂に会して情報交換を行う岩手県産学官連携連絡会を6回開催しました。

イ 産学官連携コーディネータ養成セミナーの開催

(財)いわて産業振興センターと共催して7月31日に一祐会館を会場に「いわて産学官連携コーディネータセミナーを開催しました(参加者85名)。

ウ イブニングフォーラムの開催

◇ 4月 3日 株式会社 南部美人 五代目蔵元 製造部長 久慈 浩介氏

◇ 6月30日 小岩井農牧株式会社 代表取締役常務 野澤 日出夫氏

◇ 7月24日 フューチャーベンチャーキャピタル株式会社 代表取締役社長 川分 陽二氏

◇12月11日 白石食品工業株式会社 専務取締役 白石 隆 氏


(2) 共同研究

「民間等との共同研究」件数の推移(平成5〜15年度)

区分/年度
H5
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
工学部
27
29
35
43
50
48
61
71
64
83
95
農学部
0
0
1
2
1
11
12
19
35
42
35
教育学部
1
1
2
1
1
0
1
0
0
0
1
人文社会科学部
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
3
地域共同研究センター
0
1
0
0
3
2
0
2
3
5
5
生涯学習教育研究センター
0
0
0
0
0
0
0
0
3
2
1
28
31
38
46
55
61
74
92
105
133
140
区分A
2
3
4
3
5
7
5
16
16
14
18
区分B
21
23
27
33
42
47
66
69
85
104
108
区分C
5
5
7
10
8
7
3
7
5
15
14
28
31
38
46
55
61
74
92
105
133
140
伸び率(対前年)
 
10.7%
22.6%
21.1%
19.6%
10.9%
21.3%
24.3%
14.1%
26.7%
5.2%

(3) 高度技術研修

EPMA分析技術研修 9月11〜12日(5名参加)

(4) 競争的外部資金確保に関する検討

ア センター内に設置した学内外教職員からなる競争的外部資金検討会において競争的外部資金確保策を検討しました(4回開催)。

イ 競争的外部資金データベース作成ワーキンググループにおいて、競争的外部資金情報(年度当初115、年度末134)の一元的提供のための検討と具体化を行いました(8回開催)。

ウ 募集中や募集時期が迫った外部競争資金の情報を学内メーリングリストを活用して各教官への情報提供を行うこととしました(7月から実施)。

エ 産学連携等のプロジェクト推進のため競争的外部資金による産学連携等推進ワーキンググループを立ち上げました(2回開催)。

オ 33の競争的外部資金について、学内延べ約130名の教員及び学外3社に申請の打診を行い、うち学内教員28名及び学外3社が申請を行いました。

カ これらの活動等により、15年度の外部研究資金(科学研究費補助金、受託研究費、奨学寄付金及び共同研究費等)の総額は10億6万円なり、14年度の8億7,600万円に比べ、14%の増加となりました。

 

(5) 友好協力協定締結している自治体との連携促進

ア 北上市において、北上地域の製造業に携わる社会人を対象に、技術革新・人材育成を目的に「岩手大学北上サテライト講座」を実施しました(全6講座:担当教官18名・受講者69名)。

イ 北上市において、2月24日に「産学官民連携フォーラムin 北上」(参加者87名)を、花巻市において、3月29日に「産学官民連携フォーラムin 花巻」(参加者85名)を開催しました。

ウ 盛岡地域において、「中小企業ビジネスフォーラムin 盛岡」(参加者65名)を盛岡市、矢巾町、滝沢村とともに開催しました。

3 研究成果の活用

(1) 特許出願関係

ア 特許相談会

・岩手県知的所有権センターの協力による相談会(6月19日、10月16日)

・発明協会の協力による相談会(8月9日、11月14日、2月14日)

・富山(延べ8日)、対馬(同6日)及び丸岡客員教授(同7日)による個別特許相談

イ 工業所有権セミナー開催

本学教官等を対象にとして9月26・27日に開催(東北経済産業局等の協力による)

講師:丸岡弁理士 参加者:25名 会場:地域共同研究センター2階会議室

【参考】最近の発明届件数推移

年度
H5
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
件数
19
36
36
128
85

(2) 技術移転関係

ア 知的財産本部機能の整備を行い、特許管理データベース及び市場動向調査報告書等を整備しました。

イ 東北テクノアーチとの連携により技術移転の取り組み、1件の技術移転に成功しました。

4 広報その他

(1) 広報

ア ホームページの充実

掲載情報:センター主催行事、相談業務の充実、産学官民連携協力員の受入、共同研究の申込み手続き、過去3年間の主な研究テーマ例、競争的外部資金データベース

イ 年報の発行

   平成13・14年度の活動・研究成果を取りまとめた岩手大学地域共同研究センター年報第7号を発行しました。

(2) 地域共同研究センター創設10周年記念事業の開催

地域共同研究センター設立10周年を記念して、「イーハトーブ産学官連携推進の成果と課題発表会」を10月8日(水)に盛岡市内ホテルを会場に開催し、468名もの方々に参加いただきました。

【プログラム】

1 岩手大学地域共同研究センター10周年記念式典(13:00〜13:40)

(1) 開会

(2) 挨拶 (平山岩手大学学長)

(3) 報告「岩手大学地域共同研究センターの10年を振り返って」(清水地域共同研究センター長)

(4) 来賓祝辞

(5) 祝電披露

(6) 閉会

2 産学官連携フォーラム(13:40〜17:00)

(1) 主催者挨拶

(2) 来賓挨拶

(3) 記念講演

   「自立した地域社会の形成と産学官連携」 岩手県知事  増田 寛也 氏

(4) パネルディスカッション

「産学官連携の過去、現在、そして未来」〜岩手大学地域共同研究センター外部評価オープン討議〜


(パネラー)
文部科学省研究振興局研究環境・産業連携課長 田中  敏 氏
経済産業省東北経済産業局産業部長 栗原 和夫 氏
一橋大学大学院商学研究科教授 関  満博 氏
日本経済新聞社編集局次長 守屋 林司 氏
リコー光学株式会社代表取締役社長 和田 好茂 氏
岩手大学工学部教授 岩渕  明 氏
(コーディネーター)
岩手大学地域共同研究センター教授 及川 雅勝

       

3 産学官共同研究成果発表(12:30〜19:30)

(1) 口頭発表(17:00〜18:00)

ア 工学分野発表(会場:メトロポリタンホール南)

イ 農学・生命分野発表(会場:桐)

(2) パネル・製品展示等(12:30〜19:30)

・ 会場    「4階ロビー」及び「メトロポリタンホール」

・ 発表    パネル展示、製品展示

・ 中小企業総合事業団コーナー

・ 企業間マッチングコーナー

4 産学官交流パーティ(18:00〜19:30)

(3) その他講演会等の開催

◇ 4月19日 第104回INS公開講義‐岩手大学講義室への招待(150名参加)

◇ 5月24日 平成15年度INS総会・講演会(244名参加)

◇ 6月 7日〜7月26日 第4期言語人文学会言語市民講座(全8回シリーズ 47名参加)

◇ 6月21日 第105回INS公開講義‐岩手大学講義室への招待(61名参加)

◇ 6月27日 岩手県地域結集型共同研究事業「第3回SQUID研究会」(89名参加)

◇ 7月 4日 遺伝資源研究連絡委員会公開シンポジウム(120名参加)

◇ 7月28日 センター体験学習(第5回いわて・子ども・ものづくりセミナー)(36名参加)

◇ 8月1日〜2日 戦略マネジメントゲーム研修(13名参加)

◇ 8月30日 第12回INS公開講演会(163名参加)

◇ 9月24日 産学官ネットワークinえさし(100名参加)

◇ 9月27日〜28日 言語人文学会第13回大会(80名参加)

◇10月25日〜26日 岩手大学工学部研究室公開(3,046名参加)

◇11月 4日 岩手県地域結集型共同研究事業「第4回SQID研究会」(87名参加)

◇11月21日 学術講演会(130名参加)

◇11月21日 遠野郷地域産業おこしフォーラム(30名参加)

◇11月22日 岩手大学植物科学シンポジウム(75名参加)

◇11月28日 第5回岩手農林研究協議会(AFR)シンポジウム(84名参加)

◇11月28日 第7回INS国際シンポジウム(53名参加)

◇12月 3日 産学官連携フォーラムin大船渡(87名参加)

◇12月 5日 第1回知的財産フォーラム(96名参加)

◇12月 6日 第106回INS公開講義‐岩手大学講義室への招待(64名参加)

◇12月 8日 岩手県地域結集型共同研究事業「有機素材活用研究会」(80名参加)

◇12月13日 岩手大学地域共同研究センター公開講演会(70名参加)

         (同時開催 INSファミリーパーティー)

◇12月20日 INS公開セミナー「大学はおもしろい!!」(350名参加)

◇ 1月31日 ヨシ原と地域社会の共生を考える(170名参加)

◇ 2月 1日 農村自然再生シンポジウム(130名参加)

◇ 2月 2日 特許化に関する講演会(20名参加)

◇ 3月13日 第107回INS公開講義‐岩手大学講義室への招待(100名参加)

◇ 3月16日 環境戦略セミナーin江刺(100名参加)