<地域司法部門設立の目的>
地域司法部門は、岩手大学の法学教員・図書資料等の法律関係資源を活用した地域貢献を目的として平成17年度に設立されました。
もとより大学の使命は研究・教育にありますが、学生の教育とそのための研究という枠を越えて地域社会の発展に寄与することを法学の
領域において行おうというもので、理念としてはかなり幅の広いものとなっています。それゆえ岩手大学の法学教育部門である人文社会科学部
法政策講座全体の対外的窓口という役割も担っています。
<地域司法部門設立の経緯>
地域司法部門の設立については、岩手大学の法科大学院構想を抜きにしては語れません。岩手大学法科大学院は、北東北地域での
法曹人口過疎化対策の一環として、弁護士会等の地域法曹および弘前大学・秋田大学等の周辺大学の熱意のもとで計画が進められて
きました。しかし、諸般の事情により白紙にせざるを得ないという結果に終わり、このことを受け、本来は法科大学院が担うはずであった
法学領域の地域還元という目的の一端を実現するため、地域連携推進センターに地域司法部門を設けることになったのです。
<地域司法部門の活動内容と方法>
法学領域での地域還元・地域貢献というやや茫漠とした目的をどのような内容の活動により、どのような方法で実現しようというのでしょうか。
具体的には、つぎのような活動が直ちに思い浮かびます。
(1) 地域において生じているさまざまな法律問題(たとえば消費者問題、高齢者問題、子供の親権者問題、企業法務問題等)についての
解決のための支援。
(2) とくに、知的財産権をめぐる法的紛争の予防、知的財産権活用のための法的方策、および近年著しく変遷した会社法への対応など、先端的な問題への
取り組みの手助け。
(3) 法律実務家(弁護士、弁理士、司法書士、行政書士等)対象の研修会等の開催。
(4) 学生教育を兼ねた法律相談
(5) 法律問題に関する講師派遣
しかしながら、たとえば法律問題解決のための支援をとってもどのようなニーズがあり、どのような支援策が適切であるかについては
今後の課題ですし、弁護士、弁理士、司法書士、行政書士等の職域を侵さない支援方法をとるべきであることはもちろんです。いずれにしても
岩手弁護士会等の地域法曹とのいっそうの緊密な協力・連携体制の構築が欠かせず、これなくして安易に突っ走るわけにはいきません。
さらには、これらの大学の知の地域への一方的環流という活動だけではなく、地域特有の法律問題を自治体・法曹諸団体等と共同で研究し、
大学もそのなかで新たな研究テーマを見出したり知的刺激を受けたりするという双方向的な活動も将来的には視野に入れるべきであると
思われます。以上のことをふまえた上で、地域司法部門の具体的な業務内容としては、当面以下のものを予定しています。
1.地域法務研究会の開催
(1) 弁護士、弁理士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、地域企業の法務にたずさわる人々を対象とする、研究報告会の開催。
(2) この研究報告会の内容を整理した冊子の出版・頒布。
(3) この研究会における活動を通じての、弁護士会、弁理士会、司法書士会、行政書士会、公認会計士協会、税理士会、地域企業の法務にたずさわる人々の間の関係調整。
2.地域法務講習(研修)会の開催
(1) 岩手大学の学生および地域住民を対象とする、定期的な、身近な法律問題に関する法務講習会の開催。
(2) 弁護士会、弁理士会、司法書士会、行政書士会、公認会計士協会、税理士会、地域企業の法務にたずさわる人々、あるいは地域住民からの要望に基づく、法律問題の講習(研修)会の開催。
3.岩手大学受託事業取扱規則に基づく受託事業の運用
(1) 自治体等の研修用セミナーの開催
(2) 自治体等の主催するセミナーへの講師派遣
4.知財専門家・起業家の支援
弁理士養成を含む知財専門家の支援、および、地域に密着したビジネスを展開する起業家の支援。
5.法律知識の普及活動
インターネットのウェブページ等における法律問題の平易な解説、および、盛岡地方裁判所との連携による法律知識の普及活動。
|
このウィンドウを閉じる
|