R6.7.27 公開講座 「少年少女のための運動能力向上教室」を開催いたしました

  • 目的
     発育発達期の子どもたちが実施する様々な身体活動は、骨の成熟や筋力および持久力の向上といった良い影響を及ぼす一方で、不適切な運動方法による整形外科的疾患を引き起こすリスクを有している。本公開講座では、今後さらに高い活動レベルでの運動実施が見込まれる小学校高学年の子どもを対象に、低い傷害リスクで高い運動能力を発揮することができる運動方法について指導を行うことであった。
  • 活動実績
     今回の公開講座は2部制で構成された。
     はじめの1時間は講師の渡辺幸太郎により、股関節周囲筋群を対象にしたストレッチとトレーニングに関する指導が行われた。講座の後半で行われる「走りのトレーニグ」との関連を考慮し、股関節の屈曲動作を効果的に行うためのストレッチとトレーニングが処方された。具体的には、一般的な学校体育などで実施される柔軟運動には採用されにくい、股関節の深部筋群をストレッチする方法の指導、さらに股関節屈曲筋群を特に刺激するような運動遊びを処方することで、子どもたちに「脚が上がりやすい感覚」を指導した。これにより、走りにおいて重要な脚を上げる動作がより自然に行われるようになるため、傷害リスクの低い運動実施につながることが期待される。なおこれらの指導は、小学校の子どもたちでもわかりやすいよう、講師の動きを「まねする」という単純な指導方法で行われ、子どもたちも楽しめる模倣運動の中で効果的な運動方法を学ぶことができていた。
     後半は講師の奥平柾道によって速く走るためのトレーニングが処方された。今回の公開講座では3つのポイントが提示され、「一瞬で大きな力をいれること」「身体の軸を前に倒すこと」「自分にあった歩幅で走ること」の3つに着目したトレーニングや遊びが行われた。特に自分にあった歩幅について、歩幅は年代によらず身長と関連が深いことが知られている。そのため講座では身長別の歩幅が設定されたレーンが用意され、子どもたちが自分の身長に応じてレーンを走ってみるというトレーニングが行われた。専門的な指導を受けていない場合、不必要に脚を速く動かしてしまう場合や、自分にあっていない歩幅で大きく走ってしまう場合が見られるが、今回の講座で自分の身体にあった走り方を体験することができた。

  • 今後の課題
     前回までの反省を受け、講師は子どもだけでなく保護者の方へ専門的なアドバイスを行う時間を多少設けた。これまでは子どもたちだけに非常に単純化した専門的な指導を実施してきたが、横で見ている保護者の方に対してその指導が何を意図して実施されているかなどの説明が不足していた。今回の公開講座では保護者の方もメモを取る様子などが見られたため、公開講座で伝えられた専門的な知見が家庭内や地域で広がることを期待いたします。