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マクロネットワークス社の経営理念は「優れた番網技術(Guard・Networks)、すなわち人間の生活をより便利に、安全にするネットワーク技術を追求する」とある。
その理念に基づき、ベンチャー創業第一弾として開発したのがパソコンの遠隔サポートシステムである。ユーザーのパソコン画面を、支援者側のパソコンに直接表示し、遠隔地にいながらにして相互に操作や指導ができることから、トラブル解決にかかる時間とコストの削減を実現した。現在、このシステムは大手企業に使用されているほか、海を越えて中国・大連のベンチャー企業とも遠隔通信を通して実験中である。
そして、平成19年5月から取り組んでいるのが同社の開発製品第二弾となる緊急地震速報装置に連動するシステムである。気象庁が平成19年10月1日から一般向けに緊急地震速報を開始したのを機に、インターネットを使った様々なシステム開発が行われているが、その中で同社が取り組んできたシステムは、気象庁の速報と同時に事業所などで稼働中のコンピュータデータを保護するとともに、メールで地震の到達予測を携帯電話などに知らせ、また安否確認ができるという画期的なシステムである。
技術開発の中心になっている厚井教授は、もともとは大手電気メーカーの研究員だった。その経験を生かし、大学の研究に企業の精神を入れたいという思いで、岩手大学の教授へと転身を図った。その思いを実現するべく、平成17年にITコンサルタント会社を経営していた朝比奈純一氏と「マクロネットワークス」を立ち上げた。
「私の人生はチャレンジの連続です。ベンチャーの課題は資金繰りで、それは大変だが、楽しいこともある。チャレンジし続けていると、きっといいことがあると信じています」
厚井教授は、大学発ベンチャー企業の果たす役割は、かなり広範囲だと語る。「まず、大学ということで信頼をいただける。インフラ設備もよく、一つの一つの研究も深い。技術のみならず、留学生なども含めた異文化交流の役割もあると思います。特に、留学生はやる気があって一生懸命です。彼らとワイワイやりながら研究しているのが非常に楽しいですね」
同社が開発した「シャットダウンシステム」は、業務用、家庭用に販売している協業会社製の緊急地震速報「EQガード」と連動。地震が起きると揺れが発生する前に、震度と到達時間を教える。するとシステムが作動してコンピュータが止まり、データが保存される。同時に、火を止めたり、玄関を開けたり、地震に備えた避難態勢を取る警告にもなる。
また、このシステムは携帯電話とも連動しており、出先の営業マンなどが携帯電話を開くことによって未読・既読の連絡が会社のパソコンに入り、安否確認ができる。
これまで2回ほど自然災害も含めた震災対策技術展に出展したところ、関連のシステムはまだ見られず、パソコンを並べた同社のデモンストレーションに注目が集まった。
「これは岩手発の取り組みで、業界では先行している。しのぎを削ってきた一般向けの配信は実証試験を経て仕上げの時期。これからアプリケーションのスタートになる」と厚井教授。
地震災害は、揺れる前の数十秒が全てを決定するといわれ、そのための緊急地震速報装置だが、普及は予想より遅いという。地震王国日本において、今後30年間のうちにかなり高い確率で大地震が起こると予測されている地域は多い。半導体工場や医療界のみならず、一般企業、金融機関、学校、家庭など様々な場面で同社のシステムは強い味方になりそうだ。
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こうい・ゆうじ
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有限会社マクロネットワークス
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